toggle
2019-11-24

「マチネの終わりに」映画と本の感想

スポンサーリンク
「マチネの終わりに」映画と本の感想-アイキャッチ

2019年11月1日より公開された映画「マチネの終わりに」の感想です。

ネタバレに全く配慮していない感想文と雑感を書いていきますので、未見の方はぜひ映画を先に観ていただければと思います。小説も素晴らしいですよ!!

「マチネの終わりに」公開情報

【公開日】2019年11月1日
【監督】西谷弘
【脚本】井上由美子

【原作】平野啓一郎

キャスト(公式サイト順)

蒔野聡史:福山雅治
小峰洋子:石田ゆり子
リチャード新藤:伊勢谷友介
三谷早苗:桜井ユキ
中村奏:木南晴夏
小峰信子:風吹ジュン
是永慶子:板谷由夏
祖父江誠一:古谷一行

Story

世界的なクラシックギタリストの蒔野聡史は、
公演の後、パリの通信社に勤務するジャーナリスト・小峰洋子に出会う。
ともに四十代という、独特で繊細な年齢をむかえていた。

出会った瞬間から、強く惹かれ合い、心を通わせた二人。
洋子には婚約者がいることを知りながらも、
高まる想いを抑えきれない蒔野は、洋子への愛を告げる。
しかし、それぞれをとりまく目まぐるしい現実に向き合う中で、
蒔野と洋子の間に思わぬ障害が生じ、二人の想いは決定的にすれ違ってしまう。
互いへの感情を心の底にしまったまま、
別々の道を歩む二人が辿り着いた、愛の結末とは―

「マチネの終わりに」映画公式サイトより引用

サントラのクラシック・ギターの音楽はとても心が落ち着くので、公開当時だけでなく、今でもよく聴いています♪

今年一番好きな映画になった

マチネの終わりに、好きですねぇ。薪野さん、洋子さん、三谷さん、リチャード。彼らを取り巻く人たちを含めたそれぞれの人生の交わり方が素晴らしく、もどかしく切なくて、様々な感情が浮かびます。

私は女だからか、洋子さん寄りの視点で見てしまいますが…男の人なら、薪野さん寄りになるのかな?なんて想像します

最初に映画を見て感動して、すぐにサントラを聴き、原作の小説を読みました。小説は読み終わったので、1回目の義母と一緒に、2回目を観に行きましたよ!
サントラはすごく気に入って、最近よく聴いています。

マチネの映画を観た方ならわかってくださると思うんですが、この映画は、観た後に色々と感想を話し合いたくなるような物語なんです。

「マチネの終わりに、良かったよね」の一言で終わらない、そこも魅力の一つなんですよね

「マチネの終わりに」映画版の好きなところ

先に映画版を見た私ですが、とても引力のある物語で、小説を読む楽しみができたのも嬉しかったです。どこか哀愁の漂うノスタルジックで温かみのある音楽が、自然とマチネの世界に連れて行ってくれました。

沢山感じたことはあるのですが、パッと思い浮かぶのはまず、

  • 音楽が素晴らしい
  • 哲学的な美しい言葉の数々が印象深い
  • 情緒のある映像に魅せられる
  • 桜井ユキさん(三谷役)の存在感が凄まじい
  • 韻が残る
  • 薪野さんと洋子さんが幸せに結ばれてほしい

といった感じでした。
薪野演じる福山さん、クラシックギターの練習も大変だったと思いますが…本当に、うっとりするような演奏でした。

主要人物と、その周りにいる人たちの関わり方にほのかな温かみがあるところも好きです。薪野さんと師匠、洋子さんと同僚たち…。どのキャストの方々も、とても良かった。

薪野さんと是永さんの信頼関係は、映画版の方が好きかなぁ。

二人だけの世界ではないからこそ、歯車が狂ってしまう切なさもありましたね

薪野さんと洋子さんの運命の恋

惹かれ合う二人って、恋愛の男女に限らず「共通の言語」みたいなものがあると思っているんです。

共通の言語というのは抽象的なんですけど、たとえば誰かが発した言葉や文章にハッとして、共感したり納得したり、心が震えることがありませんか?

それは新しい価値観を与えられる場合もあるのかもしれないし、元々自分の心の中に持っている言葉が、共鳴・共振していることもあるなって。

薪野さんと洋子さんの二人の出会いの夜を見ていて、強くそう感じました

そういう特別な相手に出会う感動や快感というのは、本当に奇跡のような運命の計らいで、自分の置かれている環境や今までの人生とは全く意図しない強烈さで、相手に対して親近感や好意をおぼえるものなのかもしれません。

なんかこう、理屈じゃなくて「この人だ」っていう確信が、わかるのがわかる。その描写がとても秀逸で、物語の中で、恋に落ちる瞬間を見るのが好きな私はとても満足しました…。最高の夜だったな。

ましてや洋子さんにとって薪野さんは、昔、鮮烈な印象に残っているギターの少年なわけです。惹かれてしまうのが自然だよなぁ。

「未来は常に過去を変えている」

このセリフに始まり、いくつか心に残る言葉があって、クラシックギターの美しい調べと、画の中で紡ぎ出されていくのでとても響いていくんですよね。

言葉の美しさに惹かれて、小説はきっとこういう場面に沢山出会えるような期待感があり、読みたいと思ったのも理由の一つです。

「未来は常に過去を変えている」
この言葉に癒されるのは、薪野さんや洋子さんだけではなく、私たちもそうなのかもしれません

会った回数が大事じゃない

嘘です。もっと二人は物理的に沢山会うべきだった!!(笑)とまあ、私の個人的願望はおいておくとして…。

数える程の逢瀬だからこそ、宝石みたいな時間になって、その時その時の思い出がキラキラと輝くのかもしれない。もっと二人が並んでいるところが、二人が一緒にいることで作られる空気が、見たかったんですけどね。

幸せに寄り添う二人の姿が見たいな〜

続編でこれから見られないでしょうか?薪野さんと洋子さんの会話って、ずっと聴いていたくなるような珠玉の言葉がちりばめられているんですよね。

桜井ユキさんって凄い女優さんだな…

俳優さんや女優さんに疎い私ですが、桜井ユキさんという女優の名前はこの映画でしっかり憶えて帰りました。凄いですよね、桜井さん。

演技が上手いというか、インパクトが強すぎて主役の二人を圧倒しています。私は洋子さんが好きですけど(笑)。でも誰に共感するかと問われると、誰にも共感はしないかなぁ。

三谷さんというキャラクターに関しては、後述して感想を述べたいと思います。

キャスティングが素晴らしかった

特に洋子さんは、本当に石田ゆり子さんがぴったりハマっているなと感じていました。福山さんのラジオ(石田さんゲストの会)を聴いたら、石田さんは元々原作小説を読んでいて、洋子役を演じたいと願っていたそうなんです。

石田さんは「口に出すと願いは叶うから」とも仰っていて、福山さんとのトークが楽しく、あっという間にラジオ時間が終わってしまいました(笑)。

私の好きなシーン・ベスト3

⑴パリで二人が再会する時の、これからの時間を楽しみに美しい街並みを歩いていく洋子さん(コーディネートも素敵なんですよね)と、窓際の席で洋子さんを待つ薪野さん。どこを切り取っても絵になる二人でした!

小説は未読だったので、そのあとの薪野さんの衝撃的な愛の告白に私もびっくりしましたが…。言葉の強さが強烈だったので。

⑵薪野さんが料理を作っているシーンが2回出てくるのですが、どちらも好きですね。美味しそう〜!食べたい!!料理も出来る男子!最高!!

あの和食を二人でいつか食べてほしいです

⑶薪野さんのニューヨーク公演での、洋子さんを見つけた時の表情の演技にすごく感動しました。あの、最初の洋子さんの姿から(ここから冒頭に繋がるのか!と)最後の再会シーンに至るまで、胸がいっぱいになります。

最初からクライマックス…!(笑)

余韻の残る終わり方

えっ!ここで終わり!!?

この続きが見たいよ!!!

…と、私のみならず何人かは同じことを思った気はするのですが、小説の最後も同じで、ページをめくってもめくっても続きはなく(笑)サントラの「幸福の硬貨」を聴いて、気を紛らわせるしかなかったです。

時間が経った今は、これからを想像させる美しい終わり方で素晴らしいなって思ってます!映画館では(この気持ちをどこに持っていったらいいのか、わからない…)としばらく頭がぼんやりしていました。

色々考えちゃうんですもん。

原作小説を読んだ感想

原作の小説を読んで、映画とは結構展開が違うところがあるんだなと驚きました。まず小説には、「序」という前書きのような序文が物語に添えられているのです。

私は一行目から物語に入り込みたいタイプなので、「序」の存在に面食らいました。映画には導入部分にそのようなものがなく、必要ないような気がしたんですよね。

それでも読み進めていくうちによくよく考えてみると、「序」があることによってある種の立体感が出るというか、思い通りにいかない歯がゆさに逆にリアリティーが出ているように思えました。

完全なフィクションとも言い難い、どこかで薪野さんや洋子さんが存在しているんじゃないかと思わせる、素敵な仕掛けになっていました。

文章にすることで、二人の想いがより強く感じられた

映画は大胆に削られたエピソードも多いのだなと。それゆえに、映画版は恋愛ものとしてまとまっている感じがしました。

映画より小説の方が、二人のやりとりが密になっているように感じて、そこまで想い合っているのに擦れ違えるものなんだろうか?と疑問が浮かんできます。

まさかあんな風に三谷さんが暗躍しているなんて二人とも夢にも思っていないでしょうから、想うが故にすれ違ってしまうものなのかなぁ。

大切な人の手は離しちゃいけない

それでもやっぱり、映画を観ても小説を読んでも、本当に愛した人やその絆を信じるならば、かっこ悪くても自分が情けなくても周りがどうでも、その愛を諦めちゃいけないと思う。

当事者ではなく外野だから、そう言いたくなるのでしょうか。

「仕方がなかった」で終わらせるには、あまりにももう少し出来たことがあったのではないかと考えさせられるので、こんな風に長文の感想を書いてしまっています。

映画・小説それぞれの三谷早苗という人物について

自分の愛に一番素直だったのは、三谷さんだったのかもしれない。

三谷さんのこと好きではないんですけど、三谷さんという存在があるからこそ、よりこの物語が魅力的に輝いている気がします。

映画→小説の順番で読んでみると、小説版の三谷さんは自分から洋子さんに打ち明けたりしないのですね。映画版の三谷さんの方が、いい人というか、(桜井ユキさんのことを差し引いても)愛し方が違う感じ。

私は三谷さんに関しては、映画版の方が断然好きです

小説版との違いを義母に説明すると「あんなことをする人が、自分から打ち明けたりしないよね」と原作の展開に冷静に納得していましたが、映画版の三谷さんは、脚本でより魅力的に(好意的に)描かれているのではないでしょうか。

『夕べにすべてを見とどけること。』のシーンは、小説版の流れの方が好き。

真相を知ってからの三谷さんに対する薪野さんの葛藤は、小説版はもう本当に苦悩というか愛憎めいて複雑な感じですね…。

素敵な作品に出会えてよかった

「マチネの終わりに」を観た後、リアルやtwitter上など、色んな方と作品について語り合うことがあって、それもすごく楽しかったです。感想を聞くのも読むのも楽しみでした!

この作品のおかげで、素敵な出会いがあって嬉しいです!

「マチネの終わりに」こんな人にオススメ

  • 福山雅治さん、石田ゆり子さん、桜井ユキさんのファン
  • クラシックギターが好き
  • 大人の恋愛ものが観たい!
  • 両想いだけどすれ違う恋愛ものが大好物
  • 静かな中に激情を感じるような物語が好き
  • 研ぎ澄まされた言葉に触れたい

すっごく長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました!
映画、小説どちらもオススメですのでぜひ♪

スポンサーリンク
関連記事